下眼瞼下制のあらまし

下眼瞼下制とは、なんとも難しい単語です。「かがんけんかせい」と読みます。どういう意味でしょうか。これは形成外科・美容外科における専門医学用語でして、字義通りに言うなら「下眼瞼」を「下制」する手術ということになります。下眼瞼とは言うまでもなくまぶたの下側の方、下まぶたを指します。それを下制する、つまり「下側に制する」、言い換えれば「下に押し下げる」「下に押し広げる」「下に引っ張り下ろす」といったことになるでしょうか。

下眼瞼下制は目元に関する美容外科の治療メニューの中でも、特に高度な技術を要するものですので、腕の良い、評判の高いドクターにかかるのが重要なポイントになります。どこが重要かといいますと、目元の形というのが人間の表情のほとんどすべてを左右する最も顕著な部分であると言えるからです。それだけに高度な仕上がりが求められるわけですし、必然的にドクターの技量にも高いものが求められるのです。

具体的治療については後ほどまた触れますが、要するに下側の瞼を手術で下方に向かって押し広げて固定してやるのです。主に下側の目尻を広げることで、柔らか味のあるぱっちりとした目元が実現します。もっと解りやすく言い換えるならば「たれ目」を人工的に作り出す手術であると考えればよいのではないでしょうか。もちろんそれ以外にも、個人の目元の形状によって、どこをどう押し下げれば効果的に理想に近づくかが変わってきます。

下眼瞼下制の治療を施すと、小さく表情に乏しかった目元がぱっちりと広がり、生き生きと、若々しい印象に一変します。目が生き生き輝くことで表情に活力が生まれ明るくなり、見る人に「美しい」「力強い」という印象を与えるようになります。下眼瞼下制の効果は表情の印象にとどまらず、個人の人格的優位性を発動し、対人関係においても他を圧倒するパワーを与えてくれます。本当に「目は口ほどにものを言う」のであり「目は心のまなこ」なのです。

これほどに下眼瞼下制という治療メニューが大きな効果を及ぼすのも、人間の表情を形作る最も大きな要因が、目元の表情に凝縮されているからに他なりません。人間の表情筋というものは解剖学的に見ても、他の生物に比較してかなり活発な運動が可能ではあるのですが、一方で下まぶたの筋肉はあまり自由に動くものではありません。目の表情はもっぱら上瞼と眉毛の運動によって形作られる傾向にあります。これが人間の表情の基本をなしています。下眼瞼下制は、動きにくい下まぶたの形状をコントロールする治療です。