下眼瞼下制の治療そのものは実にシンプルで安全性も高いわけですが、他の部位と異なり、目元の治療というのはそれだけで絶大な印象の変化をもたらします。それだけに事前のシミュレーションとカウンセリングが、さらに重要となることはご理解いただけるかと思います。どのようなイメージの目元を望んでいるのかをドクターがしっかりと把握していることも重要ですが、当の本人が仕上がりのイメージをはっきりと確認していることが、極めて大きな意味を持ちます。
目元の仕上がりイメージにおいて大切になってくるのが、その他の顔のパーツ、眉の線、鼻、口、耳の位置、額の形状などとのバランスです。限界まで目元を押し広げても、他のパーツとの位置関係によっては、むしろアンバランスな印象をもたらすことになり、かえって不自然さを招いてしまいます。下眼瞼下制の目的は、あくまで自然で柔らかな目元なわけですから、全体のバランスを崩してまで行う治療に意味はありません。
美容外科クリニックというところでは、全国どちらの医院でも、治療前のカウンセリングが欠かせません。術後目立ちにくい歯の治療などと異なり、顔面、特に目立ちやすい目元の治療は慎重に行われなくてはなりません。ユーザー本人が思い描く希望と、ドクターが提案するプランとが最も密接にリンクするポイントを見出すことが、こうしたカウンセリングの重要目的なのです。それは下眼瞼下制のような治療においてはなおさらです。
下眼瞼下制のように、ルックスに大きな影響を及ぼす治療においては、多くのクリニックが、CGやモンタージュなど様々なシミュレーション手法によって、仕上がりイメージを懇切丁寧に説明してくれることと思います。ユーザーがきちんと満足いく結果を得られるように、治療によって具体的にどのような変化がもたらされるのかを、本人にしっかり把握してもらわなくてはならないからです。
下眼瞼下制が絶大な効果をもたらすからといって、仕上がりの表情イメージがあまりにユーザー本人のキャラクターから逸脱してしまっては本末転倒です。美容外科治療の目的はあくまで「美しい自分」へと成長することであって、決して「美しい他人」になりすますことではないからです。このあたりが、我が国の美容外科が欧米のそれと大きく体質を異にする部分ではないでしょうか。どんなにきれいになっても、きちんとその人であると認識できること。それが我が国の美容外科であり、下眼瞼下制の考え方なのです。